しっくりこない買い物からの転機
久しぶりにビジネススーツを新調しようと専門店に行った時の話しです。
私はスーツを買い慣れていないので、あれこれ迷いながら目についたものを試着してみました。
どれも何かしっくりとこなかったので店を出ようとしたら、以前に接客してくれた店員さんの姿が目に入りました。
「あっ、一年くらい前に来てくれましたね。何を買われたかは覚えてないけど、あなたのことは覚えていますよ」と嬉しそうに声をかけてくれました。
心に残った手書きのメッセージ
「買おうと思って来たけどしっくりこなくて」と話してみました。
するとその店員さんは、色合いやシルエットの希望だけでなく、どのような場面で着るか、立ち座りや動くことが多いかなどを、聞き出してくれました。
「お客さんの好みや、私の思い込みもあるかも知れないから」と何着でも試着してみるよう勧めてくれました。
そうして、私にお勧めのスーツを選んでくれました。
帰りに手書きのメッセージカードもくれて、満足のいく買い物になりました。
スーツなら次もこの人を頼りにしようと思ったのです。
商品ではなく「人」に向き合う仕事
店の鏡の前で似合っているかどうかだけでなく、そのスーツを着る場面、仕事に対する姿勢、生活スタイルまで知ろうとしてくれた。
私の思いを踏まえてアドバイスや提案をしてくれた。
そのような客にしっかりと向き合う仕事のやり方に、私はとても共感したのです。
自社の商品やサービスに対する顧客目線やニーズをくみ取るには、まず顧客に向き合ってわかろうとする姿勢が必要です。
できればその人の思いや背景まで。
見た目や顧客データだけではわからないことも多いからです。
見立てが当たることやはずれることがあっても、成功や失敗の経験の積み重ねが仕事に対する自信にもつながって行くことでしょう。
信頼される人こそ、本当に選ばれる人
すぐにアドバイスをくれる人よりも、まず自分をわかろうとしてくれる人を頼りにしたい。
大切な物は活き活きと働く人から買いたい。
そう思うのも人情ではないでしょうか。
キャリアコンサルタント 福積千佳子