■人間関係は良好、それでも募る将来不安
「今の職場は人間関係が良くてとても働きやすいのです。仕事にも大分慣れて、一人でもこなせるようになってきました。でも、今の時給の働き方のままでは貯蓄もできないし、将来の生活が不安です。」
派遣先企業で作業員として働きながら、正社員への転職を目指している男性は話しました。
「正社員になるなら30代のうちにと思っているけれど、応募したい求人が少なくて。転職先の人間関係もどうかわからないし…。」
彼は、今の職場の居心地の良さとは反対に、将来の生活が描けないことへの不安や、就活が思うように進まない焦りも感じていました。
■選ばれる転職先、その決め手は?
転職をした人が前職を辞めた主な理由に、職場の人間関係が好ましくなかったということがあります。
一方、新たな転職先を選んだ理由として多いのは、仕事の内容や職種に満足がいくからが一番です。
次いで、自分の能力や技能が活かせるからというものです。
転職を考える人は、職場の人間関係は入ってみないとわからないから、それよりもどんな仕事か、自分が成長できるかということを重視するのでしょう。
とは言え、転職に迷いや不安は付き物ですし、転職すれば今よりうまくいくと考えるのは希望的観測かもしれません。
■迷いがある時こそ立ち止まって考える
転職は仕事やくらしの転機になります。
また、転職は目的ではなくより自分に合った仕事や働き方をするための手段です。
現状に不満や不安があるから転職を考える場合には、つい新しい仕事や職場に早く活路を見出したくなるものでしょう。
そんな時こそ、今の仕事自体に目を向けてみましょう。
自分にできることをやって成長しているか。やりたい仕事やありたい自分に近づいているか。
そして、仕事を続けるためにやるべき事、例えばスキルアップの努力をしているか。
このような三つの面から見直してみて、それでも転職に対する迷いや不安が大きいならば、心機一転のタイミングではないのでしょう。
しばらく今の仕事でがんばった方が良いかもしれません。
キャリアコンサルタント 福積千佳子