「こども誰でも通園制度」本格実施へ議論開始【Q&Aも】

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「こども誰でも通園制度」本格実施へ議論開始【Q&Aも】

「こども誰でも通園制度」が本格的に始まるのを前に、課題について意見が交わされました。

「こども誰でも通園制度」が本格的に始まるのを前に、課題について意見が交わされました。

2026年度から、保護者の就労状況にかかわらず3歳未満の子どもが保育所などを利用できる「こども誰でも通園制度」が本格的に始まるのを前に、こども家庭庁で検討会が開かれ、保育士の安定的な確保など、課題について意見が交わされました。


「こども誰でも通園制度」は、保護者の就労状況などにかかわらず、生後半年から3歳未満のすべての子どもが、希望すれば月に一定時間、保育所などを利用できる新たな制度で、2026年度から全国すべての自治体で実施されます。


18日、こども家庭庁で有識者による検討会が開かれ、国の担当者が、2025年度は全国254の自治体で先行的な実施が予定されていることや、各市区町村は年内に利用ニーズの把握を行い、受け皿の確保を進める必要があることなどを説明しました。


また、委員からは「医療的ケア児や障害のある子どもの受け入れをどのように進めていくのかが課題だ」とか「保育士の雇用が不安定にならないよう、国には必要な財政措置を講じてほしい」といった声があがっていました。


こども家庭庁は今後、先行的に行っている自治体の参考となる事例をほかの自治体に共有するなど、2026年度の本格的な制度の開始に向けて、各自治体の体制整備を後押しすることにしています。

「こども誰でも通園制度」について【Q&A】


Q. 改めて、「こども誰でも通園制度」ってどんな制度なの?

A. 保護者が働いていることなどを原則とする今の保育所の制度とは別に、保護者が働いていなくても、月に一定時間子どもを預けられるようにする、新たな通園制度です。

対象となるのは0歳6か月から3歳未満の子どもで、保育所や認定こども園、幼稚園、児童発達支援センターなどでの実施が想定されています。

こども家庭庁がまとめた制度の運用指針では、利用時間について国が補助するのは子ども1人当たり月10時間を上限とし、自治体が独自に利用時間を延長できるとしているほか、保護者が支払う利用料は1時間当たり300円ほどを標準とするなどとしています。

2024年度は試行的に全国118の自治体で進められ、制度化された2025年度は254自治体で実施予定となっています。

そして2026年度には今の保育所の制度と同様に、全国の自治体で実施される予定です。


Q. なぜ、この制度が設けられることになったの?

A. 保護者の働き方や就園の有無など、子どもが置かれた環境にかかわらず、すべての子どもによりよい成育環境を整備することが目的です。

認可された保育所や認定こども園などに通っていない3歳未満の子どもの数は、令和5年度、全体のおよそ6割にあたる134万人と推計されています。

少子化が進むなかで、子どもが家族以外と関わったり、家庭とは異なる経験を得たりする機会が少なくなっていることも、制度化された背景のひとつです。

また、在宅で子育てをする保護者は、孤立感や不安感を抱えながら子育てを行っているケースもあります。

専門的な知識や技術をもつ保育者と関わることで、そうした保護者の孤立感や不安感の解消、育児負担の軽減につながることも期待されています。


Q. 課題は?

A. 課題のひとつは、利用ニーズに対する受け皿の確保です。

本格実施される2026年度には、全国すべての自治体で「こども誰でも通園制度」の利用を希望する子どもを受け入れる体制の整備が必要となります。

しかし、保育所などの定員や施設に空きがない都市部では、十分な受け皿を確保できるのかが課題となっています。

また、受け入れる側の保育現場では、そもそも保育士不足が深刻ななか、新たな制度が始まることで、より負担が重くなるのではないかといった懸念も高まっています。

国は、ICTの活用や、資格はあっても保育士として働いていない「潜在保育士」の復職支援を行うなど、現場の負担軽減や人材確保に向けた取り組みを進めることにしています。

また、医療的ケア児や障害のある子どもが利用できる環境の整備をいかに進めていくのかも課題となっています。


配信元:NHK NEWS WEB

配信日:2025年7月18日


今回のこの報道に関して


「こども誰でも通園制度」が目指す社会とは? 2026年度本格実施へ

2026年度から全国で本格的に導入される「こども誰でも通園制度」。

保護者の就労に関係なく、生後半年から3歳未満の子どもを一定時間、保育施設に預けられるこの制度は、すべての子どもに育ちの場を提供する新たな一歩といえます。


これまで保育所利用の前提となっていた「保護者の就労」が不要となることで、専業主婦(主夫)世帯や育休中の家庭、さらには孤立しがちな在宅育児家庭にとっても、社会との接点が生まれる機会になります。


特に、育児による孤立感や不安感に悩む保護者にとって、プロの保育士とつながる機会は心理的な支えになるはずです。

また、子どもにとっても家庭外での人間関係や刺激のある環境は、健やかな発達に寄与するでしょう。


しかし理想と現実には乖離もあります。

都市部では保育の受け皿がすでに飽和状態であり、「空きがない」「受け入れられない」という課題は制度導入後も残る懸念があります。

また、現場で働く保育士はすでに人手不足と業務過多に悩まされており、制度が拡大することで逆に負担が増す可能性も否定できません。


国は「潜在保育士」の復職促進やICTの導入を進めるとしていますが、実効性のある支援と財政措置がなければ制度の定着は難しいでしょう。


それでも、“すべての子どもに通園の機会を”という理念は時代の要請でもあります。

少子化が進む今、育児を「家庭内の責任」とせず、「社会で支える」意識が問われています。


本制度をきっかけに、「働くかどうか」に関係なく、親も子も社会とつながれる柔軟な保育のかたちが広がっていくことを期待したいと思います。


「こども誰でも通園制度」HP

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