参議院では与党が多数を確保しているため、法案の成立は困難な情勢
野党側が提出し20日に衆議院を通過したガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案は、夕方の参議院本会議で審議入りし、土曜日の21日、財政金融委員会で質疑が行われることになりました。
ただ、参議院では与党が多数を確保しているため、法案の成立は困難な情勢です。
国会の会期末が22日に迫る中、野党側が提出したガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案は、20日の衆議院財務金融委員会と衆議院本会議で採決され、いずれも野党側の賛成多数で可決されて参議院に送られました。
法案は午後5時半から開かれた参議院本会議で審議入りし、法案提出者の立憲民主党の重徳政務調査会長による趣旨説明に続いて、与野党の質疑が行われました。
この中で、自民党の船橋利実氏は「国税や地方税の減収に見合う財源確保の見通しなしに廃止するのなら無責任だ。
衆議院でわずか3時間の委員会質疑のみで参議院に送付してきたこと自体参議院を軽視したものだ」と批判しました。
これに対し重徳氏は「政府・与党が突如掲げた国民1人あたり2万円の給付は税収の上振れ分を財源に活用するとのことだが、選挙目当ての1回限りのバラマキに使うぐらいなら、暫定税率廃止の財源として活用すべきだ」と反論しました。
21日に財政金融委員会で質疑予定 参院本会議開くことも合意
法案は、参議院財政金融委員会でも趣旨説明が行われて審議入りし、これに先立つ理事会では、土曜日の21日午前10時から委員会を開いて、質疑を行うことで与野党が合意しました。
また、立憲民主党は21日の質疑のあとただちに採決することを提案し、引き続き協議することになりました。
このあと参議院議院運営委員会の理事会が開かれ、法案が財政金融委員会で採決される場合を想定して、21日午後に本会議を開くことで与野党が合意しました。
ただ、参議院では与党が多数を確保しているため、法案の成立は困難な情勢です。
【衆議院通過までの経緯】
衆院財務金融委員会で可決
野党側が提出したガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案について、20日の衆議院財務金融委員会の理事会では、採決を行うかをめぐって意見が分かれ、立憲民主党の阿久津委員長が、採決と本会議への上程を職権で決めました。
このあと開かれた委員会での質疑で自民党の石田元総務大臣が「成立のメドが立たない中、なぜ法案を提出したのか。参議院選挙前のパフォーマンスで究極のポピュリズムと見られてもしかたがない」と指摘したのに対し、法案提出者の日本維新の会の青柳政務調査会長は「自民・公明両党は暫定税率を廃止すると明言しているわけで、両党が賛同すれば成立の見込みは十分にある」と反論しました。
そして、法案の採決が行われ、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組の賛成多数で可決されました。
委員会での質疑をみてから賛否を判断するとしていたれいわ新選組が賛成に回ったため、法案は、本会議でも野党側の賛成多数で可決されて参議院に送られる見通しとなりました。
衆議院本会議で可決
このあと、法案は午後の本会議に上程され、審議が行われました。
討論で、自民党の小寺裕雄氏は「ガソリン価格が突然、大幅に下がる影響を真剣に検討したのか大いに疑問だ。
代替の恒久財源は政府に丸投げのポピュリズム法案であり、閉会間近に提出された欠陥だらけの法案は断固廃案にすべきだ」と主張しました。
一方、立憲民主党の長谷川嘉一氏は「物価高から国民生活を守るために暫定税率の速やかな廃止が必要だ。
自民・公明両党は去年から廃止を約束しておきながら今になっても実現できないのはなぜなのか。
ぜひ法案に賛成し、国民の暮らしを支えてもらいたい」と訴えました。
そして採決が行われた結果、法案は、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組などの賛成多数で可決されました。
自民・公明両党などは反対しました。
法案は、参議院に送られましたが、参議院では与党が多数を確保しているため、法案の成立は困難な情勢です。
自民と立民の国対委員長が会談
参議院での審議をめぐり、自民党の石井参議院国会対策委員長と立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長が会談しました。
そして、午後5時をメドに本会議を開いて、法案の趣旨説明と質疑を行い、審議入りさせることで合意しました。
また、参議院財政金融委員会でも20日中に法案の趣旨説明を行うことを確認しました。
その上で斎藤氏は、土曜日の21日午前に、参議院財政金融委員会で法案の質疑と採決を行いたいという考えを伝え、引き続き協議することになりました。
配信日:2025年6月20日
今回のこの報道に関して
ガソリン税の暫定税率を来月廃止することを目的とした野党提出の法案が、衆議院通過後、参議院で審議入りしました。
参議院では21日に財政金融委員会で質疑が行われる予定ですが、与党が多数を占めていることから、法案成立は困難な情勢です。
衆議院では、立憲民主党の阿久津委員長が職権で採決を決定し、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組の賛成多数で可決されました。
自民・公明両党は、財源の不透明さや拙速な手続き、ポピュリズム的要素を強く批判しました。
一方、法案提出者は「与党が公約通り賛同すれば成立の見込みはある」と反論しました。
参議院本会議では、立憲民主党の重徳政調会長が法案の趣旨説明を行い、与野党の質疑が行われました。
与党側は、財源の裏付けがない無責任な法案だと批判。
これに対し立憲側は「一時的な給付金に税収上振れ分を使うくらいなら、暫定税率廃止の財源に充てるべき」と主張しました。
21日には委員会での質疑と、場合によっては参議院本会議での採決も見込まれますが、成立は極めて厳しい情勢です。
国民生活に直結する課題だけに、国会での冷静かつ建設的な議論が求められています。