ガソリン税の暫定税率廃止法案は廃案へ 国会は事実上閉会

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ガソリン税の暫定税率廃止法案は廃案へ 国会は事実上閉会

財政金融委員会の審議の予定はなく、ガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案は廃案となる見通し

財政金融委員会の審議の予定はなく、ガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案は廃案となる見通し

国会は、会期末を翌日に控えた21日の土曜日に野党側が提出したガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案の審議が行われる異例の展開となりましたが、結局、採決は見送られました。

今後、審議の予定はなく、法案は廃案となる見通しで、国会は事実上、閉会しました。


野党側が提出したガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案は、20日、参議院に送れられたのを受け、会期末を翌日に控えた土曜日の21日午前、参議院財政金融委員会で質疑が行われました。


法案をめぐっては、野党側が21日の採決を主張する一方、与党側は丁寧な審議が必要だとして折り合っていませんでした。


与野党、平行線が続く中、21日の委員会休憩後に開かれた理事会で、自民党の三宅委員長が合意のメドが立たないことを踏まえ、委員会を散会したいという意向を伝えました。


そして、三宅委員長は直後に再開した委員会で散会を宣言し、21日の法案の採決は見送られました。


これに対し、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、社民党の野党4党は、法案採決を拒む与党の姿勢を容認する委員長はふさわしくないとして、三宅委員長の解任決議案を提出しました。


決議案は議院運営委員会で扱いが審議され、採決が行われましたが、多数を占める与党側の反対で、本会議には諮らないことが決まりました。


その後、21日に予定されていた本会議はとりやめとなったのに加え、22日も財政金融委員会の審議の予定はなく、ガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案は廃案となる見通しです。


少数与党のもと1月に召集され、論戦が繰り広げられきた第217通常国会は、事実上、閉会しました。


自民 船橋利実氏「委員会の散会は正しい判断」

参議院財政金融委員会の与党側の筆頭理事を務める自民党の船橋利実氏は記者団に対し「まだ質疑を重ねる必要性があり、事業者や自治体の関係者を参考人として招致することも必要で、きょうの採決には応じられない。

委員会の散会については、けさから理事会を重ね、野党側の発言の機会も作った上で三宅委員長が判断したもので、正しい判断だ」と述べました。


自民 松山参議院幹事長「財源の裏付けなしでは容認できない」

自民党の松山参議院幹事長は、記者会見で「暫定税率の廃止に反対しているわけではないが、財源の裏付けなしに決めるのは、責任政党として容認できない。到底議論が尽くされたとは言えず、拙速に採決することは熟議の参議院としては、ふさわしくない」と述べました。


その上で「この国会は衆議院で少数与党という環境の中で厳しい運営となったが、野党各党と修正協議を通じて法案1本1本、丁寧に対応することで実りの多い国会だった」と振り返りました。


自民 坂本国会対策委員長「ポピュリズムの極みの法案」

自民党の坂本国会対策委員長は、名古屋市で開かれた党の会合であいさつし「野党はポピュリズムの極みの法案を提出した。選挙や票のためならば国がどんなに混乱し、現場のガソリンスタンドが厳しい状況になっても構わないという姿勢だ」と批判しました。


その上で「国民に安心感を与え、一歩ずつ政策を進めていくには、一定の財源を確保していくことを常に考えながら政策をつくっていかなければならない。そのためには少数与党の現状をまず何とかしていかなければならない。その前に参議院選挙で勝利を勝ちとり、自公連立政権で責任ある国づくりを進めていくことが大事だ」と述べました。


立民 柴慎一氏「責任を放棄するもの」

参議院財政金融委員会の野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の柴慎一氏は記者団に対し「委員長がこのタイミングで与野党の協議を打ち切り、今後の具体的な法案審議も決めずに散会を宣言したことに強い憤りを感じている。参議院としてもしっかり議論した上で判断を下す責任を放棄するものであり、強く抗議する」と述べました。


立民 斎藤国対委員長「一方的な散会宣言 極めて遺憾」

委員会の散会を受けて、立憲民主党の斎藤国会対策委員長は記者団に対し「三宅委員長が一方的に委員会の散会を宣言したことは極めて遺憾だ。また、現時点で、あす以降の委員会も開催される見込みが立っていない。三宅委員長の解任決議案を提出する判断をした」と述べました。


立民 水岡参議院議員会長「この国会の終わり方は残念至極」

立憲民主党の水岡参議院議員会長は記者会見で「この国会の終わり方は残念至極だ。法案に反対なのに反対の表明すらせず、国会議員としてあるまじき行為だ。参議院選挙では、結論を出さないまま国会を終わらせる与党か、人々の生活を考える野党のどちらを選ぶのかをはっきり示しながら戦うことが必要だ」と述べました。


21日午前の質疑では

野党側が提出したガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案を巡っては、参議院財政金融委員会で土曜日の21日も質疑が行われました。


自民党の船橋利実氏は「恒久的に減税するなら、代替財源を確保するのが責任ある政治のあり方だ。法案には問題が多く、政府へのおまかせで丸投げ的な法案だ」と指摘しました。


これに対し、法案提出者の立憲民主党の重徳政務調査会長は「恒久財源はことしの年末の税制改正で議論していく。政府・与党が選挙前に場当たり的な給付を行うくらいなら、暫定税率廃止の財源に充てるべきではないか」と述べました。


質疑に先立つ理事会では

これに先立つ理事会で、野党側は、21日の採決を求める一方、与党側は、事業者などへの影響も大きく丁寧な審議が必要だと主張し、折り合いませんでした。


参議院では与党が多数を確保しているため、法案の成立は難しい情勢ですが、国会は、来月の実施が見込まれる参議院選挙も意識し、会期末ぎりぎりまで、与野党の駆け引きが続く異例の展開となっています。


配信元:NHK NEWS WEB

配信日:2025年6月21日


今回のこの報道に関して


野党が提出したガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案は、参議院での審議が進まず、採決が見送られ、廃案となる見通しとなりました。

国会は事実上閉会し、参議院選挙を前に与野党の攻防が続いた異例の会期末となりました。


法案をめぐる審議は、与野党の主張の隔たりが埋まらないまま21日に委員会が散会。

与党側は「財源の裏付けがなく無責任」「丁寧な審議が必要」との姿勢を貫き、野党側は「議論すら封じた無責任な対応」と強く抗議しました。

立憲民主党や維新、国民民主党などは委員長の解任決議案も提出しましたが、与党の反対多数で退けられました。


今回の法案審議は、ガソリン税の暫定税率見直しをめぐる課題とともに、財源確保や国会の熟議のあり方、与野党の姿勢の違いを改めて浮き彫りにしました。

国民生活に直結する政策のあり方について、今後も冷静かつ建設的な議論が求められます。


なお、ガソリン税のトリガー条件(ガソリン価格が160円を3か月連続で超えた場合に25.1円引き下げる仕組み)は、東日本大震災後に成立した「被災者等に係る国税関係法律の臨時特例」により、現在も凍結されています。

制度全体の見直しとあわせ、持続可能な対策の検討が急務です。

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