2025年1月掲載
「10年後になくなる仕事、残る仕事」という特集記事がありました。
今からおよそ10年前に、ある新聞社が運営するサイトに出ていたものです。
大まかに言うと、営業、販売、事務などの仕事は人工知能(AI)に代わられることが多く、医療や福祉、相談、援助など人へのサービスに関する仕事は残るという内容でした。
そのころ既に製造業を中心にロボットの導入が進んでいて、人のする多くの仕事がなくなるとも考えられていました。
その記事の10年後の今はどうでしょう。
確かに、AIやロボットの活用は急速に進んでいます。
身近なところでは、生活用品の量販店のセルフレジ。
ネットのAI機能を使って、求人応募書類を作っている人もいるようです。
AIやロボットが、様々な場面で仕事の効率化や省力化に役立てられています。
一方で、10年前、将来も残るといわれた仕事や、なくなるといわれた仕事の多くが残っているのはなぜでしょう。
医療や福祉の現場でも、AIの活用やロボットの導入がされている所は少なくありません。
営業、販売、事務の仕事は、まだまだ人が中心です。
人手不足といわれる業界でもそうです。
その主な理由は、人でなければできない仕事だからです。
職人技といわれるような繊細な技術。知恵や工夫。
共感や心配り。
また、他人よりもすぐれたスキルを磨いて、自分にしかできない仕事をつくる能力。
自分にもできる仕事を深めていく努力など。
人への信頼や安心も求められているのでしょう。
企業としては、長く働いてくれる次の世代を採用して育てることが大事です。
若手だけでなく、シニア人材の採用。
助成金を使ったリスキリング。
退職した元社員(アルムナイ)の再雇用など。
採用や育成方法を具体的に変えることも考えてみませんか。
人でなければできない仕事の核心は、人にしか教えたり伝えたりできないからです。
そうすれば、これから10年後も仕事はなくならないでしょう。
キャリアコンサルタント 福積千佳子