2022年10月掲載
今年の夏、私の印象に残った光景があります。
三人の働く人の姿です。
晴れた真夏日。
大型ショッピングセンターの広い駐車場の一角で、客の車を誘導している男性がいました。
私が乗った車がすぐ後ろを通った時、被った帽子の下から白髪と流れる汗が見えました。
その男性は長袖のYシャツでマスクを着けたまま、近づく車に「いらっしゃいませ」と声をかけながら、白い手袋を着けた両手を交互にゆっくりと動かしていました。
次々と近づいて来る車は、皆窓を閉めてエアコンをかけていますから、男性の声は聞こえなかったでしょう。
口の動きや表情もわからなかったでしょう。
それでも男性は、客の車に向かって軽く頭を下げながら「いらっしゃいませ」と声を出し続けていました。
昼下がりのある飲食店のカウンターの中で、若い男性店員が硬い表情で店長と勤務シフトの話をしているのが聞こえてきました。
「空いている所にどんどん入れちゃってください。お金になるし、家にいても暇なんで。」と店員が言うと、店長は苦笑いしていました。
この秋店を訪れると、その若い店員が明るいかけ声を出しながら調理をしている姿がありました。
注文した料理をカウンター越しに「お待たせしました。」と笑顔で出してくれました。
もう一つ。
ある会社員の女性が、子供の学級閉鎖の影響で自宅待機を促された時の話です。
女性は、4日目には出勤したそうです。
「働けるのに3日も家にいると仕事が心配だし、世間から取り残されそうだから会社に行きたい。」と、上司に訴えたと笑っていました。
働く目的や仕事に対する考え方は、人それぞれです。
お金のため、家族のため、自分の成長のためなど、いろいろでしょう。
皆さんも、時にはなぜ働いているのかと自分に問いかけてみては?
自分は目的や理由など考えないけど、働きたい。
ただ仕事が好き。
そう思うだけでも、働く気持ちや姿勢が変わってくるかもしれません。
キャリアコンサルタント 久保賢司