2022年3月掲載
キャリアコンサルタントの福積千佳子です。
先日、通勤途中に一軒の家の前で、男性が抱えた荷物を運びながら、一人の若い女性に話をしていました。
「本当に一人で生活できるのか?」と。
私には、就職が決まって社会に旅立つ娘と、引っ越しを手伝う父親に見えました。
心配顔の父親と違って、娘さんの笑顔が印象的でした。未来に不安もありながら、より大きな期待を抱いているようでした。
私にも、初めて社会に出た頃や、転職をして環境が大きく変わった時の記憶があります。
初めての環境に飛び込むたびに、やはり不安と期待がありました。
一番の不安は、仕事をしっかりと教えてもらえるだろうかということでした。
一方、職場でどんな人と出会えるのだろうという期待もありました。
新しく人を迎える企業の方にも、同じように期待と不安があるのでしょう。
新社会人でも中途入社の方でも、早く仕事を覚えてひとり立ちできるだろうか、そのために何から教えてあげたら良いだろうか、と。
新しく入る方が早く仕事を覚えようと努力する姿勢も必要ですが、受け入れる側の体制も大事です。
例えば、仕事の基本を教えるメンターなどの役割を確認することや、業務のマニュアルなどを新しく入る人にもわかりやすくすることです。
あるいは、職場のコミュニケーションが取りやすい雰囲気や、歓迎会などの機会づくりです。
研修にあまり時間をかけられなくても、できる準備がないか職場で考えてみることが必要でしょう。
最近、転職の相談に来ていた若い方が、いきいきとした笑顔で近況報告に来てくれました。
小さな会社に転職されたのですが、毎日朝礼で社長が一人一人に声掛けをしてくれて、職場の人もしっかりと仕事を教えてくれるから期待にこたえたいとのことでした。
せっかく一緒に働くことになった縁が続くように、お互いに不安を和らげ期待につなげる工夫をしたいものと、私は若い笑顔を見ていて感じました。
キャリアコンサルタント 福積千佳子