2022年2月掲載
「就職活動をいったん休もうと思います。」先日、ある就職活動中の方が採用選考の結果報告に来られて、このように話されました。
「面接まで進んでも、結果はまた不採用でした。最近の面接では、まただめかもしれないと思うと、力が出ないからかもしれません。」
その方は、予期していなかった事情で退職後、半年以上、正社員を目指して就職活動を続けていました。
新年からは、新年度からはと、厳しい就職環境の中で何度も何度も経験を活かせる求人に応募を続けていました。
私はその方をねぎらい、これからどうするのかと尋ねました。
その方は、うつむき加減で答えました。
「世の中が厳しい状況とはいえこんなに不採用が続くと、自分が必要とされていないように思えて、正直なところ疲れました。だから、少し休むことにします。いろいろとアドバイスしてもらったのに結果が出なくてすみません。」
新年度からは、新入社員や転職された方など、新しい職場で心機一転してスタートされる方も多いことでしょう。
そのような時期に就職活動を休むことは、世間から取り残されるような不安はないかと思い、私は重ねて尋ねました。
「どのくらい休まれる予定ですか?体調や生活は大丈夫ですか?」
その方は顔を上げて穏やかに言いました。
「就活をやめるわけではありません。今まで一つの仕事しか経験したことがないので、知人のお店でアルバイトをしてみることにしました。力が戻ったらがんばって就活します。」
就職活動は、働く所を見つける手段であって、それ自体が目的ではないのです。
働くことが目的です。
そう考えると、仕事に休みがあるように、就職活動に疲れたら、自ら思い切って休むという判断があっても良いでしょう。
鋭気を養う時も必要です。
「急がば回れ」ということわざのとおり、回り道から新しい道が見えて、本来の目的地に早くたどり着けるかもしれません。
キャリアコンサルタント 久保賢司